導入事例

  • 小林製作所様スタッフ
  • 小林製作所様金型分野で「SolidCAM」「iMachining」を活用する

株式会社 小林製作所様
DATA
社名
株式会社 小林製作所様
創業
1938年(昭和14年)
本社
東京都品川区荏原5-10-11
社員
10名(本社・第2工場)
製品
プラスチック金型の設計・製造および射出成型品
電話
03-3781-4886(代)

戦前から金型一筋、設計から射出成型まで一気通貫のモノづくり

株式会社小林製作所様は、東京の品川区の住宅街の中に本社工場を構え、道路を挟んだ反対側に第2工場を構えていらっしゃいます。
戦前に先代が始められた金型製作はプレス金型中心でしたが、現在では国内有数の産業機器や自動車向けの小型プラスチック部品を納入されています。
2次元の製品図面があれば、自社が保有する3次元CAD/CAMで金型設計・製造を行った後、自社の射出成型機で製品化することも可能です。
また、最終的には、射出成型後に、プラスチック部品同士を超音波で接合したり、支給された異材質の部品との組み付けまで行った「ASSY部品」の状態でお客様に納入することも行なっていらっしゃいます。

難燃・不燃樹脂を使ったプラスチック成型が得意

<成型設備一覧>

射出成型機 東洋機械金属 TM-130H 130トン
射出成型機 新潟鉄工 AN50 50トン 主にインサート成型に使用
射出成型機 東洋機械金属 Ti50G2 50トン ゲート内カットができる
射出成型機 東洋機械金属 Ti-50G2 50トン 高温成型が可能
射出成型機 東洋機械金属 50G 50トン 成型温度500度 耐磨耗スクリュー

昭和50年代から、難燃・不燃性の性能を有した特殊な耐熱樹脂のプラスチック成型品の依頼を受けるために、セラミックヒーター付の耐熱樹脂専用の射出成型機を導入。
現在では、PPS・PEEK・PBIなどの樹脂も含め、射出成型機5台の生産体制で、お客様からの受注に対応されています。

同社が成型されたケーブルベア
同社が成型されたケーブルベア
自動車部品の成型後にランナーを切断する
自動車部品の成型後にランナーを切断する

激減する金型受注 高騰する樹脂価格

早くから耐熱性樹脂の成型品に取り組まれたことで、成型品の仕事は定期的に受注しているそうですが、高騰する樹脂価格を製品に転嫁することができず、採算面でご苦労されているとのこと。
一方、新しい型の仕事は激減し、「20年前には、自社だけではやりきれなくて知り合いの他社に頼んでいた。
10年前でもそれなりに仕事はあった。でも、今は10年前の1/10程度の仕事量しかない。韓国や中国で作られた型のメンテナンスの仕事の話もあるが、今は断っている。うちも型だけならどうなっていたか分からない」と小林社長。厳しい金型業界の中で、成型までできる同社の強みが活きた形となっています。

激減する金型受注 高騰する樹脂価格

アジア勢との価格競争・3Dプリンター出力サービスでの試作にも対応

型の仕事量そのものが以前と比べれば少なくなったこと以上に小林社長が感じられるのは、韓国・中国など海外に金型の仕事が流れていることだそうです。
海外金型メーカーにはない自社の特徴は、なんといっても、成型もできる長年の実績と経験だと言うことです。
ただ、それに胡坐(あぐら)をかくことなく、3Dプリンターの出力サービスを利用して、製品形状の確認をしながら客先と打合せを重ねるなど、最新の技術も取り入れていらっしゃいます。

FANUC ロボドリル α-T14iF 電極作成前の様子
FANUC ロボドリル α-T14iF 電極作成前の様子

~SolidCAM i-Machining(アイマシニング)~攻めの一手!更なる生産性の向上で、差別化を図る

アジア勢との価格競争に加え、新型の受注が先行き不透明な中、小林製作所様にとっては、金型製作の設備の更新など大きな投資はしにくい状況でした。それでも、新型が来た時に備え、生産性を向上するために何か出来ることはないかと模索されていた小林社長は、2013年「SolidCAM i-Machining(ソリッドキャム・アイマシニング)」と出会います。
それは、加工時間と工具の長寿命化をうたうCAM製品でした。
既に、同社では他社の3次元のCAD/CAMは導入済みでしたが、更なる価格競争に対応するために2013年夏に導入。社長自らCAM講習を受講されるなど、導入直後より積極的に活用いただいています。

これまで使ってきた複数のCAD/CAMと比較して

小林社長いわく、
「『i-Machining』は、3次元CAMとしては入力項目が少なく操作が簡単な上に、いいパスが出るので、初めて使う人にとってはとてもいい。金型加工に特化した3次元CAMは、長く使っているが、やれることが多すぎて、CAMが本来持っている機能の50%も使いこなしていないような気がする。また、2次元も3次元もできるようなCAD/CAMの場合、付属のCADごとに『くせ』があるので、CAMに加えて、新たにCADの技術や機能を覚えなくてはならなかった。その点、『SolidCAMのi-Machining』は、同社で導入済みの3次元CAD『SOLIDWORKS』上で動くので、新たにCADを習得する必要がなく、とても楽だった。」
とのことです。

i-Machiningで作成した電極用治具
i-Machiningで作成した電極用治具

実際に「i-Machininig」を使用して

「金型母材は主にNAK80やSTAVAXなどを用いているが、今まで、Z切り込み1mm~2mmでやっていたような加工が、5mmで1回で切り込めるので、とてもよい。10mm彫り込むような加工の場合、これまで10回かけて加工していたのが、2回で済む。そこだけ言えば、単純に加工時間は1/5。また、工具の刃持ちも確かによいので、加工時間の短縮とあわせてありがたい。切り込み量が深いので、バーンと突っ込んで大丈夫かな?と思うときもあるが、そこは音で判断している。」と小林社長。
最近では、電極や電極の治具製作にも「i-Machining」を利用するなど、活用の範囲を広げられています。

日本のモノづくりの根底にあるもの

同社では、i-Machiningの効果を最大限に活かすために、自社の全ての生産設備にi-Machiningで作成したNCデータを使用できるようにされています。導入後20年を越えるような既設の加工機には、メモリ拡張の代替手段として、タクテックスの「P-530」をお使い頂いたり、また、切り粉をエアで排出するためのオプション装置を追加するなどして、改善と工夫を積み重ねていらっしゃいます。経験をベースに、地道にコツコツと工夫と改善を重ね、世界との競争の中で、より良いモノを目指す同社の姿勢が、日本のモノづくりの根底にあると確信いたしました。
株式会社小林製作所様の今後の益々のご発展をお祈りいたします。

同社でご利用中のUSBフラッシュメモリ対応「P-530」
同社でご利用中のUSBフラッシュメモリ対応「P-530」
エアブローで切り粉を排出するオプション装置
エアブローで切り粉を排出するオプション装置

<金型製造設備一覧>

NCフライス 牧野フライス AVNC74 1台
マシニングセンタ 牧野フライス精機 MSA30 1台
マシニングセンタ FANUC α-T14iF 1台
NC放電加工機 三菱電機 EA8M FP60EA 1台
ワイヤカット 三菱電機 CX-20 1台
3次元測定器 ミツトヨ BH-303 1台